ヨガは単なるストレッチやエクササイズではなくヨガ哲学といわれる思想があります。
ヨガ哲学とは、ヨガの聖典に記されているヨガの教えで、人の心の取り扱い方や、苦悩から自由になる方法について説いています。
ヨガ哲学は、ヨガを構成する5つの要素(呼吸、姿勢、瞑想、アーサナ(ポーズ)、思想)の1つで、ヨガの考え方の部分を担っています。
ヨガ哲学の「八支則」とは?
ヨガ哲学の核心ともいえる「八支則(はっしそく)」は、ヨガスートラという古代インドの経典に記された実践のガイドラインです。この八支則は、心と体、そして魂を調和させ、よりよい生き方へと導くための8つのステップを示しています。
その8つのステップは以下の通りです:
- ヤマ(Yama):社会的な倫理
- ニヤマ(Niyama):個人的な規律
- アーサナ(Asana):姿勢
- プラーナーヤーマ(Pranayama):呼吸法
- プラティヤハーラ(Pratyahara):感覚の制御
- ダーラナー(Dharana):集中
- ディヤーナ(Dhyana):瞑想
- サマーディ(Samadhi):悟り
これらは、一気に進むのではなく、段階的に実践することで深まり、私たちの内面や生活に変化をもたらします。今回は、最初のステップである「ヤマ」について詳しく解説します。
ヤマ(Yama):社会的な倫理
ヤマとは、他者や社会との関わりにおいて守るべき道徳的な指針を指します。「他者との調和を保つためのルール」と考えると分かりやすいかもしれません。ヤマには5つの具体的な実践があります。
- アヒンサー(Ahimsa):非暴力 暴力を振るわないというだけでなく、言葉や思考でも他人や自分を傷つけないことを指します。たとえば、自分に厳しい言葉をかけすぎて落ち込んだ経験はありませんか?自分を大切に扱うこともアヒンサーの一部です。日常では「誰かを責める代わりに理解しようとする」ことで、非暴力を実践できます。
- サティヤ(Satya):正直 自分にも他者にも正直でいること。ただし、正直であることが相手を傷つける場合は、言葉を選ぶ優しさが必要です。たとえば、友人に意見を求められたとき、相手の気持ちを尊重しつつ、自分の正直な考えを伝える練習がサティヤです。
- アスティヤ(Asteya):不盗 物を盗まないだけでなく、他人の時間やエネルギーを無駄にしないことも含まれます。たとえば、遅刻をしないように気をつけたり、相手の話をちゃんと聞くこともアスティヤの一環です。心の豊かさを大切にすることで「奪う」気持ちがなくなっていきます。
- ブラフマチャリヤ(Brahmacharya):禁欲・節制 自分のエネルギーを無駄遣いせず、必要なことに集中することを意味します。現代で言えば、「SNSをダラダラ見続けない」「食べすぎない」など、自分の行動を意識的に選ぶことがブラフマチャリヤの実践です。
- アパリグラハ(Aparigraha):不貪 不必要なものに執着しないこと。他人と比べて欲を出すのではなく、今持っているものに感謝する姿勢です。例えば、断捨離をした後のスッキリ感を思い出してください。それがアパリグラハの感覚です。
ヤマを日常生活で実践するには?
これらのヤマは、特別な道具や時間を必要とするものではありません。むしろ、小さな行動の積み重ねが大切です。
- 通勤電車でイライラしそうなとき、「相手にも事情があるかも」と考える(アヒンサー)。
- 家族や友人と話すとき、自分の気持ちを素直に伝える(サティヤ)。
- 他人の成功を祝福し、自分と比較しない(アパリグラハ)。
これらを少しずつ意識してみると、心の中にゆとりが生まれ、周囲との調和が深まります。
次回は、八支則の2つ目「ニヤマ」について詳しく解説します。
ヤマが他者との関係を整えるものなら、ニヤマは自分自身との関係を整えるための実践です。
お楽しみに!
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